2002年5月9日(木曜日)

今朝は少し肌寒い。と思ったら、窓が開いてる。今日もまた退屈な1日がだらだらと始まった。だが、今日はいつもと少し違う。専門家が居る病院へと診察へ行くのだ。一体どんなことを言われてしまうのか楽しみで仕方がない。

昼前に父親がマクドでバリューセットを買ってきてくれた。そういえば、小学生の頃、昼食はいつもマクドだった。それは自分で決めたことだ。家に帰ると机の上に千円が置いてある。昼下がりの薄暗い部屋で俺はいつもそれを確認する。必ずあるその光景を楽しみにしていた。今日のセットが唯一違うのは、コーラではなくてアイスコーヒーだという点だ。残念極まりない。

俺はもうすぐ退院する。完治しないまま現実へと放り出されてしまう。既に治療の術がないことは告知されている通り。けど、そんな状態になることは厭ではなかった。少なくともこんなところで毎日毎日研究対象のように採血されるよりも幾分マシだ。それに俺が生きているのは偶然でもなんでもなくて必然そのものだ。結果は出ているけども過程が不明。そんな不明な部分を今日の専門医が明らかにしてくれるはずだ。

本当に久しぶりに外に出た。外は素早く俺を受け入れた。車に乗り込み病院へ。20分ほどして到着。車内ではほとんど景色は見えていなかった。余裕がないとこれほどに視野が狭くなるものなのか。病院に入る。少し躰がだるい。必死で環境に合わせようと頑張っているようでもある。なんてポジティブに考えてみた。予約しているはずなのに1時間以上も待たされる。本当に病院というところは。

1時間程度病状について説明を受ける。実に明解だ。俺の躰の秘密はひとりの医師の手によって次々に解明されて行く。ただし、再発を防ぐ方法もないということも告げられる。これではアンチウイルスもなしにネットサーフィンをするようなものだ。これからはノーセキュリティで生きて行く羽目になる。

病院を後にして20分後。俺はいつものベッドに戻ってきていた。主治医からはあと1週間入院を伸ばすことを告げられる。結果、残りの入院ライフが10日間に膨れ上がった。慣れてしまった病院生活。1日なんてあっというまに過ぎてしまう。人間は本当に平等に24時間で1日なのだろうか?と疑ってしまうくらいに。なので、あと1週間くらい追加されてもあまり苦にならない。

専門医に一応の解決を告げられた俺はというと夜になってから胸の違和感がぐっとマシになった。まさに病は気から。人間の神秘の力である。心に余裕が出来た俺はというとお気に入りの病院の茶をコップに注ぎ楽しんでいた。消灯まで30分。ひとりお茶会は続くのだ。

ストリートの黒幕

今日からあなたが居ない世界 今から僕は要らない世界

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